今から30年以上も昔のことになるのですが、私はゲームセンターでアルバイトをしていたことがあります。ゲームセンターといっても、中規模デパートの屋上にあるゲームコーナーです。
私がゲームセンターでアルバイトをしようかと考えた理由は、まず、楽そうに感じたからです。事実、ゲーム機のトラブルに対応する係の人は別にいたので、景品交換所のような場所に座っての応対を主にすれば良かっただけでした。
当時は、10円玉をゲーム機に投入して、その10円玉を首尾良く大当たりの穴に入賞させるとゲーム機から景品に交換できるプラスティックの小さなプレートが出てくるものもありました。その出てきた景品交換券を交換所で景品の駄菓子などと交換するわけですが、その交換所での仕事の募集があったので、私は楽そうに思い応募したわけです。
その交換券は大抵が10円~20円程度の駄菓子と交換できる券なのですが、まれに大当たり券もあり、それ券の場合は少し大きめな人形とか玩具だったのです。ですから、そこでの私の仕事は、駄菓子や人形、玩具の景品交換の仕事と清掃が主なものでした。
楽そうだったからだけではなく、私がゲームセンターでアルバイトをしたかった理由はもう一つありました。それは、私自身ゲームが大好きだったからです。
当時はインベーダーゲームが流行した直後の頃でしたから、私もよく遊んだものです。なので、ゲーム好きの私は、「上手くすればタダでゲームを遊ぶ機会もあるかもしれない」などと考えたのでした。ですが、この願いは叶えられることはありませんでした。事前には、「ゲームコーナーが閉店した後で少しくらい無料で遊ばせてもらえるかもしれない」などと期待していたのですが、閉店するとすぐに全てのゲーム機の電源を落とさなければなりませんでした。なにしろ、ゲーム機に必要な電力と、その電気代は結構な費用だったようですから。
私がアルバイトしていた頃、そのゲームコーナーに「トランキライザーガン」というゲーム機があったのです。このゲームのルールは、ハンターがジャングルの中に入っていき、出てくるライオンやゴリラなどを麻酔銃で撃って眠らせて、その間に自分のトラックに連れて帰って捕獲することで得点を稼ぐものでした。
私はこのゲームが大好きでした。だから、このゲームをやっている人がいたら少し離れた所から見学したりしていましたが、それだけでも楽しかったです。
また、小学生の子とたくさん仲良くなれました。当時、メダルゲームがあり、それを遊ぶためにはメダルが必要なのですが、私は内緒で少しサービスしてあげたりもしました。
私がこれまで働いた仕事場の中で、そのゲームセンターでのアルバイトが一番楽しい職場でした。今でも、時々思い出して懐かしく思うのです。