私が大学生活を過ごした青森県弘前市は、全国でも有名なりんご王国。
当然、りんごの農作業や宅配、発送作業のアルバイトの求人が、大学生協やハローワーク、求人タウン誌にも大量に掲載されますし、地元民の友人や先輩がいればそのツテで農家さんから個人的に声がかかることもありました。
ただ、私は体力に自信がなく、一日中炎天下の中でするりんごの摘花や収穫作業や、重さが数十キロあるりんごの木箱の積み下ろしや運搬作業はとても勤まる自信がなく、りんご関係のアルバイトをすることに二の足を踏んでいました。なかには、「フォークリフトを運転できる方歓迎」なんていうものも……。(農家の息子さんなどは免許持ってたりしますからね)
そんなとき大学生協の求人を眺めていて発見したのが、女子学生歓迎、りんご選果と箱詰めのアルバイトでした。
立ち仕事にはなりますが屋内作業で、重い荷物の積み下ろしやフォークリフトの運転はないため、女子学生にもお勧めとのことでした。
不安でしたが、夏休み(9月)に2週間という短期であることもあり、りんごにかかわるアルバイトを一度はしてみたいと思っていた私は申し込んでみることに。
おそらく申し込んだ人全員が採用されたのではないかと思います。
作業の内容は工場での組み立て作業や、お弁当を詰める工場のように、ベルトコンベアに沿って一列に女性従業員が並び、流れてくるりんごを機械の指示に沿って取り除いたり箱詰めするもの。
選果ということで、りんごの品質や等級を見分ける方法を覚えなくてはいけないのかな?と不安になっていましたが、りんごに光を当てることで中の糖度を計測したり、大きさや重さも自動計量で、アルバイトはただ機械の指示に次々に従っていくだけ。
立っていられて、機械の指示に反応する程度の人並みの反射神経があれば、誰でも出来る簡単な仕事でした。
傷があったり腐っているりんごを取り除いていく場所に配置される日もあれば、並のりんごを木箱に詰めて出荷に回す配置の日、贈答用にもなる綺麗で粒のそろったりんごを段ボールに丁寧に詰めていく配置の日もありました。
ある程度以上品質のよいりんごには、クッション用のネットを履かせ、再生紙のトレイにぶつからないように丁寧に並べます。「綺麗にして出荷するから、送られた先で美味しく食べてもらうんだよ」という気分になります。
また、多少傷があったりいびつなりんごも、ジュース工場に送られるとのことで、よほど腐っているようなもの以外は無駄なく商品となるそうです。
木箱や段ボール箱は、社員の若い男性が運んでくれるため、女子アルバイトは重いものを運んだりすることはありませんでした。その若い男性社員が、ベテランの女性作業員にお菓子などをもらって可愛がられている様子もうかがえ、和気あいあいとした楽しそうな職場だと感じました。
それ以来、ニュースや旅行先などで青森のりんごを見ると、生産する農家さんのみならず、たくさんの人の手を介して、りんご王国のおいしいりんごが全国に届くのだとうれしい気分になります。
その後農家さんでの作業や、スーパーで催事での青果販売なども経験しましたが、このベルトコンベアでの選果作業が、りんごにかかわるアルバイトの中では一番楽で、体力に自信のない女性や、アルバイトが初めての人にもおすすめできるものだと思います。
地域によってりんごには限らないかもしれませんが、機会があれば是非、自分の住む場所の農産物を送り出す仕事にかかわってみてはいかがでしょうか。